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トリニダード・トバゴの食べ物と食文化

カリブ海の南端に浮かぶ島国のトリニダード・トバゴ。日本から見てちょうど地球の裏側に位置し、常夏の島国ですが、一体どんな食べ物があるのかなんとなく想像がつかない。芋ばかり??フルーツばかり??いえいえそんなことはないのです!人口130万人のうち、それぞれ40%程度がアフリカ系とインド系が占め、その他はチャイニーズを始め、中東系やヨーロッパルーツの人々が暮らしており、さまざまな民族の文化と、カリブの風土が融合した、とてもユニークなカルチャーを持つ国です。そんなトリニダード・トバゴは、食べ物もユニークなものばかり。中南米料理やエスニック料理の中でも、ひときわ特徴的なトリニダード・トバゴ料理について知ってください!

1.トリニダード・トバゴの国民食:ダブルス(Doubles)

トリニダード・トバゴ名物の食べ物といえば、まずダブルス(Doubles)が挙げられます。有名YouTuberの東海オンエア・てつやさんも、トリニダード旅行動画でダブルスをパクついていたので、日本でも「知ってる!」という人が多いかもしれません。

ダブルスとは、スパイスで煮込んだひよこ豆を、「バラ」と呼ばれる平たい揚げパンの上に乗せたカレー風味のファストフード。バラをダブル(2枚)使うことから、「ダブルス」と命名されたそうです。カレー味だけあり、インド由来の食べ物といえます。

 ダブルスはストリートの屋台で朝食やおやつ、はたまたお酒のシメなどに常に行列ができるほどの国民食で、値段も一つ120円程度とリーズナブル。お店によってキュウリやココナッツがトッピングされたり、それぞれのお店ブレンドのタマリンドソースやマンゴーチャツネ、もちろんペッパーソースも自分好みに入れてくれます。それぞれのダブルスショップに個性があるのでいろいろ食べ比べるのも面白いものですね。

2.トリニダード・トバゴの家庭料理の代表格:カラルー(Calaloo)とピラウ(Pelau)

冒頭に紹介したダブルスはインド傾向が強い食べ物ですが、アフリカ系の食べ物も、もちろんあります。

例えばカラルー(Calaloo)という食べ物は、里芋の葉っぱを主体に、カボチャやオクラなどの野菜と、ハーブやスパイスをココナッツミルクで煮込んだ料理。ルーツは、アフリカの葉っぱのスープです。中南米料理からも、エスニック料理からもイメージしにくいこの料理は、多民族国家トリニダード・トバゴならではの味わいといえます。

また、豆料理もダブルスのようにひよこ豆を使ったもの以外にも、レンズ豆などの豆、鶏肉などの炊き込みご飯のような料理も定番のです。

その代表的な食べ物が、ピラウ(Pelau)です。資料によれば、そのルーツは中央アジアや南アジア、中東のライスピラフに由来しているそう。ブラウンシュガーを油に煮溶かしてカラメル化し、肉に絡めるレシピは、アフリカ料理の影響とも言われています。

3. ヨーロッパ料理の影響も!:ブラックケーキ (Black Cake)、ベイク&ブルジョル(Bake & Buljol)

トリニダード・トバゴは、スペインやイギリスなどヨーロッパ列強に支配されてきた歴史を持っています。その影響もあり、ヨーロッパの食文化と融合した料理もたくさんあります。

例えば、トリニダード・トバゴのクリスマスに欠かせないスイーツの「ブラックケーキ」(Black Cake)。ラムに漬け込んだドライフルーツのケーキで、ヨーロッパのブランデーケーキがもとになっています。

また、朝食の代表格である「ベイク&ブルジョル(Bake & Buljol)」は、「ソルトフィッシュ」と呼ばれる塩漬けしたタラを、塩抜きして茹で、ニンニク、シャドベニ(パクチーのよう味の野菜)、ピメントという辛くない唐辛子を入れ、お好みのスパイスとオイルで味付けしたいわばサラダのようなものをベイク(Bake)と呼ばれるパンに挟んで食べます。タラの塩漬けはヨーロッパでは重要な保存食で、ブルジョルはフランス語の「(辛さが)鼻につく」という言葉が由来でまさにヨーロッパ文化の名残りが色濃い料理といえます。

4. まだまだ変わった文化圏の料理:中東由来のジャイロ(Gyro)

トリニダード・トバゴには、イスラム教由来の中東料理もたくさんあります。アーモンドを使ったお菓子はイスラム教の祝日には国中みんなでいただきます。また、最近になって「ジャイロ」という日本でおなじみのドネルケバブの中身を薄い皮で包んだような料理も定番になりつつあります。

面白いのは、トリニダード・トバゴにはイスラム教徒の方も沢山いるので、トリニダード・トバゴで売られているお肉はほぼすべてHALAL認証がされているという点です。缶詰の一個に至るまで、すべてHALALのマークがついていて宗教問わずハラルミートをいただきます。

5. 観光地のお楽しみとして国内外で親しまれている:ベイクアンドシャーク(Bake&Shark)

「マラカスビーチでベイクアンドシャーク~♪」ってチエコビューティさん歌う「ラム&コカ・コーラ」にも出てくるベイクアンドシャーク。文字通りサメです。サメのフライと野菜を上にも出てきたベイクに挟んでいただくトリニダード・トバゴの名物代表料理です。歌詞の通りマラカスビーチという海水浴場の名物で、沢山のベイクアンドシャーク屋さんが軒を連ねています。マラカスビーチのベイクアンドシャーク屋さんでは注文するとまず、ベイクとシャークを渡されます。そして後ろを向くと、野菜、パイナップルとガーリックソース、オーロラソース、シャドベニソース、ペッパーソースなどが盛り放題で置いてあります。サメのお肉って鶏肉と魚の中間のような味と食感で意外とボリューミー。さらに油で揚げてあるので適度にカロリー取れますし、野菜や果物もたっぷり食べれてさっぱりするので、海で泳いで沢山の太陽の光を浴びた後の食事にはピッタリ!これまたお店ごとに特徴があるので食べ比べてみるのも楽しいですね。

ちなみにマラカスビーチでなくてもベイクアンドシャークは売っていますが野菜盛り放題などはないことが多いのでご注意を。

もはや食べられる限界かも!?トリニダード・トバゴ名産品:ペッパーソース

トリニダード・トバゴ料理はそれ自体は辛くはないのですが、そこにお好みで、唐辛子を使った激辛のペッパーソースをかけると、激辛好き自慢もびっくりの激辛料理に大変身。

トリニダード・トバゴでは、どのレストランにもどのダブルスショップにも必ずそれぞれのレストランの料理に合うようなペッパーソースが用意されています。

トリニダード・トバゴで使われる唐辛子は辛さがハバネロと同じくらいのスコッチボネットというのが主流で、それ以上に辛い物もゴロゴロと混じっていて、そんな唐辛子から作られたペッパーソースはどれも激辛!日本でいうところの「デスソース」が標準くらいの辛さなのです。しかしながら、そんな辛い中にも独特なフルーティな味と香りがあったり、ハーブやスパイスをブレンドしてオリジナルな風味があったりとなかなかに奥が深いです。しかし、激辛なのでかけ過ぎにはくれぐれも注意しましょう! 現地の人も、あまり辛すぎるのは好きではないらしく、たくさんかけると「お前!焼け死ぬぞ!!」などと注意をしてくれます。

トリニダード・トバゴの食べ物文化まとめ

以上、大体のトリニダード・トバゴの食べ物の紹介でした。

小さな島国ですが、なかなかのコスモポリタンカントリーだけあって、中南米料理、エスニック料理の中でも大きな特徴を持つことが理解いただけたと思います。紹介しきれませんでしたが、ベジタリアンやビーガンの方も沢山いて、そういう方も特別感なく食べられるメニューも沢山あります。また、特段意識しなくても野菜類しか使ってない料理も沢山あるので、どんな方でも思いっきり食事を楽しめるのも良いところです。

宗教文化が複雑に絡み合い、とても全体を紹介し切れないのが残念ですが、それぞれの民族がいがみ合っていないからこその融合料理がたくさん実現しているのが、素晴らしい特徴ですね。

言葉で書くと味の想像はつきにくいかと思いますが、実はお米も主食として食べられていたり、甘じょっぱい感じが日本の照り焼きにも似ていたり、里芋やさつま芋、豆を沢山使うところなども日本の料理に似ていたりと実際に食べてみると案外馴染み安いお味かもしれません。

機会があればぜひぜひトライしてみてくださいね。

(文:Japanist Sayori)