〜中南米の海を悩ませる海藻の実態〜
ご存知の方も多いかと思いますが、何年か前からサーガッサム(和名:ホンダワラ)という海藻が大量発生し、大西洋そしてカリブの海や島々に多大な影響を及ぼしています。
このサーガッサム、多量の空気を含んで浮遊し、北大西洋、カリブ海、メキシコ湾、ブラジル沖の沿岸などに生息し、大西洋サーガッサムベルトと言われるまでに群生しています。
このサーガッサム、ものすごい量がビーチに流れ着き、砂浜を覆い、腐敗して悪臭を放ったり、船のスクリューや漁業用の網に絡まったり、そしてトリニダード・トバゴに毎年産卵に来るオサガメの上陸を阻んだりと、とにかく悪影響の範囲が広いのです。
もちろん適切な量の生息であれば魚やその他海の生物の隠れ家になったり、食べ物になったり、そして海底に沈んだものは深海の生物へ炭素などの栄養を供給したりと重要な役割を担うものなのですが。。。
発生原因については詳しくは解明されていませんが、気候変動、陸上で使う肥料の海への流入、あるいは潮の流れの乱れなどが考えられています。
そんなサーガッサムが最も上陸している「Manzanilla Beach(マンザニラ・ビーチ)」をレポートしてきました。
マンザニラ・ビーチは首都ポート・オブ・スペインの反対側、トリニダードのサーフィンのメッカ「Toco(トコ)」から少し南下した所にあります。
北大西洋に面しているので荒々しい波が押し寄せます。
防風林の木が椰子の木という何とも南国らしい風景です。
ここマンザニラ・ビーチはトリニダード・トバゴには珍しく岩牡蠣が採れる事で有名で、シーフードショップは休日ともなれば、牡蠣を食べに来る人々の行列と車が途絶えません。
私も牡蠣を一杯いただいた後で、ビーチへ。。。
これがサーガッサムです!!
ビーチ沿いに延々と続いています。
写真では見えないですが、サンドフライのような小さな虫が沢山湧いていて、あまり良い気持ちはしません。
さて、こんなサーガッサムですが、何とかならないのでしょうか?
日本人なので「食べる?」などと考えたのですが、ずーっと海洋を浮遊してきた海藻、浜辺近くのものはマイクロプラスチックをはじめ沢山の海洋ゴミを抱きこんでいるし、腐敗も始まっていそうなので食用には向かないようです。(新鮮なものは食べられるそうです。)
さらに調べると「肥料にする」という方法がありました。
昔から世界各国で肥料として使われてきた歴史があるようですが、ここ、トリニダードでは2015年の大量発生時より地元カカオ農園が肥料として使い始めたとのことです。
更に各国研究を見ていくと薬品だったり化粧品だったり、さらにはバイオ燃料などにも利用できる可能性を秘めており、もしかしたら将来、大事な資源になりうるのかもしれませんね。
いずれにせよ、このサーガッサム、早く有効利用方法などが確立され人間にとっても、他の生物や生態系にとっても平和に解決できる日が来ることを願わずにはいられません。