-ソカ(SOCA)-
Soca(ソカ)とはトリニダード・トバゴ発祥のカーニバルの為に作られ、カーニバルと共に生きる大衆音楽である。
通常、Soul(ソウル)とCalypso(カリプソ)が合わさってsocaと称される。
根源は1963年、カリプソニアンであるLord Shorty(ロードショーティー)がカリプソのメロディに、インド系カリブ人の音楽の要素であるパーカッション(タッサ、タブラ等)を用いてリズムとの融合を試みた事に始まり、更にそれにソウルやファンク等のアメリカンディスコ音楽の要素が加わり、発展したものと言われている。
レゲエやヒップホップ等と比較するとかなり非日常的な音楽であるが、近年のKevin Lyttle(ケヴィン・リトル)や、Rupee(ルーピー)等のR&Bテイストのソカやラガソカがビルボードチャートを賑わかすなど、クラブミュージックとしても新たな広がりを見せている。
しかし何と言っても 160前後の高速のBPMにのせた近年のソカが放つ、強烈なバイブスとエナジーは特別である。脳から何かが沸いてくるその感覚は、ゆったりとしたメロディアスなソカ、カリプソでは味わえないものだ。Machel Montano(マシェル・モンターノ)、Iwer George(アイワー・ジョージ)、Bunji Garlin(ブンジ・ガーリン)、Shurwayne Winchester(シャーワイン・ウィンチェスター)などが男性の代表的なソカアーティストであり、女性ではDestra Garcia(デストラ・ガルシア)、Fay Ann Lyons(フェイ・アン・ライオンズ)などが挙げられる。またソカはトリニダード・トバゴだけでーはなく、他の旧英領カリブ諸国にもあり、先にあげたKevin Lyttleはセント・ビンセント、Rupeeはバルバドスのアーティストである。しかしソカの中心がトリニダード・トバゴであるのは間違いない。
近年のソカの歌詞はカリプソが本来持っているメッセージ性が大幅に低下しているとも言われているが、中にはコンシャスなリリックや日々の生活に密着した曲、反体制的なリリックも生まれメッセージ性の強い曲も増えて来ており、 次世代のソカアーティスト達の動きも注目される。
いずれにせよ、年に一度のカーニバルの群衆の中、サウンドシステムの爆音で体感してこそソカの醍醐味を感じる事ができる、一度はまると、抜けられない魅力を持つ音楽である。

-チャットニー(CHUTNEY)-
Chutney(チャットニー)とは、トリニダードのインド人コミュニティーで聞かれる大衆音楽。一言で言えば”インディアン・ソカ”と言える。インドの楽器に加え,タッサ(TASSA)と いうチャットニーに欠かせない打楽器を使用する、パーカッションの効いたソカビートにインドのボリウッドやヒンドゥー音楽のフレイバーがミックスされている、人口の40%以上がインド系といういうトリニダードだからこそ生まれたジャンルである。
その歴史は古く1940年代からと言われているが、近年RIKKJAI,D’HITMAN といったアーティストがソカ界とのコラボをし、リスナー層をインドコミュニティー以外にも広めている。多くの歌詞のテーマが酒。かなり能天気な飲め飲めソングばかりなのだか、かなりの中毒性がある音なのでご注意を!
また、2010年にはチャットニ―キングに輝いたRAVI Bの DRINKAがトリニダードのトップチャートにランクインし新しい旋風を巻き起こした。日本人ではBARBIE JAPANが2008年に日本初のチャットニーソングに挑戦した事も記憶に新しい。(文・ KARNIVAL GOLD)