トリニダード&トバゴで生まれたドラム缶から作られる音階のある打楽器であり、20世紀最後 のアコーステック楽器とも言われる。1930年代に原型となるものが作られたとされ、以後様々な改良か加えられて現在に至る。
石油産出国ということもあり、おそらく身近にあったで あろう55ガロンサイズのドラム缶を使って作るのが一般的。

まずドラム缶の底面をハンマーで叩いて凹ませて音の配置をつける、音域による種類によって 側面もカットし長さを調節する。その後、配置した音をひとつひとつ調律して音色をつけるの だがこの作業もまたハンマーを使って行う。音の打面が小さいほど高い音、面が大きいほど 低い音が出る為、各音域によりドラム缶の使用本数も変わる。ドラム缶を短くカットしたもの から、カットしたものを何本が組み合わせたもの、そのままのサイズで何本も並べるものまで とその種類も様々である。

毎年、カーニバル期間中にスティールパンのコンペティション「パノラマ」とよばれる大規模 なコンテストが開催されている。 バンドの人数によってセクションが分けられ、100人以上のメンバーで構成されるラージバ ンド部門から、少人数のスモールバンド部門まであり、それぞれスコアを競って決勝の舞台で チャンピンを決める。   スティールパンの本場、トリニダードでの全国大会ということはイコール世界大会ということを意味しており、この大会で優勝することは世界チャンピオンということを意味する。 その為年に一回のパノラマへ向けて、カーニバルが近づいてくるとパンヤードとよばれる それぞれのバンドの練習場では凌ぎを削る練習が行われている。
通常スティールパンと聞くと優しい音色を想像されると思うが、 大人数で演奏したときの迫力、音が迫ってくるような感覚はスティールパンのもう一つの大きな魅力である。 楽曲によって癒されたり、元気になれたりと変化に富んでいる楽器である。日本でも全国にスティールバンドが存在しており、横浜や神戸で、 スティールパンのフェスが毎年開催されている。(文・ IINO AKIRA from STARS ON PAN)