本年劇場日本初公開が決まった『映画 カリプソ・ローズ』。トリニダード・トバゴで生まれた音楽ジャンルCalypso(カリプソ)”を80歳現役で、しかも世界を飛び回って歌い続ける女性歌手「カリプソ・ローズ」さんのドキュメンタリーです。このような映画が日本で公開されることにより、皆さんにカリプソについて知ってもらったり聴いてもらえたりするきっかけがあることはとても嬉しいです♪
これを機に、日本でカリプソムーブメントを起こしていこう!ということで、日本を代表するカリプソバンド「CaSSETTE CON-LOS (カセットコンロス)」のWADA MAMBO氏に、おすすめのカリプソソングとその曲の解説をしていただきました!
「カリプソってどんな曲なの?」「どれを聴けばいいの?」という皆さんに、ぜひ以下の曲を参考にして聴いてみていただければと思います。
①Four Mills Brothers / LION
1932年の米国映画『BIG BROADCAST』で見事なハーモニーを披露するヴォーカル・グループ、ミルス・ブラザーズ。そんなミルス兄弟をひたすら讃えるのは、戦前カリプソ巨人、ライオン。彼らのレパートリーである“I Ain’t Got Nobody”の一節を挟むのは、いわばサンプリングというかヒップホップのルーツ、と言ったら言い過ぎか。個人的にはカリプソとジャイヴ・ミュージックを繋いでくれる、そんな宝物のような曲。ヴァン・ダイク・パークスが『Discover America』で、タジ・マハールが『Music Fuh Ya』でカヴァーしている。
②Small Island Carnival / MIGHTY SPOILER
ディジー・ガレスピーもカヴァーした“Barbados Carnival”。我がカセットコンロスでも最初期からのレパートリーです。マイティ・パンサーがオリジナルかと思っていたら、こちらの方が古そうだ。「アーハー、アーハー」と呑気なコーラスが楽しいカーニヴァル・ソング。
③Kitch’s Bebop Of Calypso / LORD KITCHENER
キチナーの歌は大体好きなのでセレクトが難しいが、まずはこれ。ロンドンに渡ったキチナーが、当時のジャズの最先端ビ・バップに刺激を受けて、それ的なフレーズを散りばめてタイトル通りのミクスチャを試みる。楽器の洗練されたフレーズと、モッサリしたカリプソ・ビートの対比がとてもユニークだ。
④When A Man Is Poor / LORD KITCHENER
映画『カリプソ天国』の中で語られる「ロード・キチナーは素晴らしいラテン歌手でもある」というセリフが物凄く印象に残っていて。こういった、カリプソ版ボレロとも言えそうな、メロウで暖かい味わいの曲もキチナーの大きな魅力だと思う。バックのバンドも最高なのだ。
⑤Obeah Wedding / MIGHTY SPARROW
50~60年代のスパロウもやはり、全部好き。その中で、周期的にマイブームは移り変わるわけだが、いつ聴いてもうまくできた曲だなぁ、と思うのがこれ。メロディ、アレンジ、奇妙な歌詞、全てに於いて最高だ。
⑥Memories / MIGHTY SPARROW
スパロウが、亡くなってしまったバンド・メンバーや仲間のことを歌うとても切ない歌。しかしとても暖かい。多くの素晴らしい音楽家が他界してしまった暗黒の一年、2020年。様々な思いを馳せながら何度も繰り返し聴いた。
今回おすすめ曲紹介と解説をしていただいたカリプソ師匠:
ーPROFILEー
WADA MAMBO(CaSSETTE CON-LOS) / ワダマンボー (カセットコンロス)
音楽と楽器と、廃れ行く諸々、そして毛の生えた生き物をまんべんなく愛するカリプソ・クレイジー。日本随一とも呼ばれるカリプソ・バンド、カセットコンロスを率いて概ね15年。ワダマコト名義では、宅録インスト・アルバム『Wada Mambo’s Homemade 〜Monaural Deluxe〜』をリリース。イナタくも切ないメロディを訥々と紡ぐギターをお聞きください。ソロでのライブ、クラリネットのアンドウケンジロウとのデュオなど、小編成の活動では、歌ものカリプソにギター・インストを散りばめて。どうぞ、よろしくお願いいたします。wadamambo.com