トリニダード&トバゴの食文化は実に様々である。 アフリカ系人種とインド系人種がそれぞれ4割程度と混血が2割程度と中国系とその他の人種が暮らしているという割合からも伺えるし、 長い植民地時代のスペイン・イギリス・オランダ・フランスなどの統治者の入れ替わりを見ても想像できそうである。
実際、街には多種多様なレストランや出店が出ていて、 それがどこに由来する料理なのか掲げているところが多い。 ただ、もともとのオリジナルの料理とは違い、自国の歴史や環境の影響を受けて変化を遂げている。
とてもポピュラーでよく見かけるものとしては、アフリカ系としては野菜を煮込んでペースト状にしたカラルーや、チキンなどの肉とココナッツでお米を炊き込んだピラウなど。インド系だとカレー味の具材を小麦粉で作った生地で包んだクレープのようなロティ、朝食代わりやちょっとしたスナック代わりに人気の屋台料理ダブルスなど。 食材としてはチキンがとても好まれている。
アメリカ発祥ではあるがファーストフードのKFCなど至る所で見かける。 ちなみにトリニダードのピアルコ国際空港には、国内にあるファーストフードのフライドチキンチェーン店3ブランドがすべてあるのはチキン好きという事を感じざるを得ない。(文・ IINO AKIRA from STARS ON PAN)
上記にもあるようにトリニダード・トバゴにはさまざま国をルーツに持つ人がいて、それぞれのルーツのフードがある。そこにさまざまな宗教も絡んでくるので、さらに多彩な料理食料事情がある。
例えば、トリニダード・トバゴにはイスラム教の人も多数いるので、お肉は大体ハラル認証付きだ。街の肉屋から、レストラン、さらにはソーセージやコーンビーフなどの缶詰にもハラルの表記があり、カトリック教徒もヒンドゥー教徒もみんなハラルミートを食べる。なんとも寛容な宗教観だ。
そしてイスラム教は豚肉を食べないし、ヒンドゥー教は牛肉を食べない。間をとって鶏肉が一番食べられているお肉となるわけだ。前記事にもあったようにフライドチキンは大人気だ。世界的フランチャイズKFCトリニダードはトリニダードの人口を差し置いても世界で上位の売り上げを誇ると聞いたことがある。
さらにはラスタ教の魚類は食べてOKのペスカタリアン、また動物愛護の観点からのベジタリアンの人々も多く存在し、レストランには必ずベジタリアンメニューがあり、最近日本でも大人気の大豆タンパクの食材もお肉と変わらないくらいの種類と数がスーパーマーケットに並んでいる。そして最近は豆腐もじわじわと人気が出てきている。昔はMEIJIのレトルトパックの豆腐がちょこっとスーパーに並んでいる程度だったが、最近は地元でも作られるようになってきている。
また、地元のお菓子に関してもその多彩さは健在で、レジ横にちょこっと並ぶお菓子にはイスラム由来のかりんとうのようなクーマと呼ばれるお菓子、インド由来のやたらめったに甘いヌガーバーのようなお菓子、さらには中国由来の甘しょっぱい梅干しなどがずらりと並ぶ。もちろんトリニダード由来のベネボールという胡麻固めたお菓子や、ナッツ類などもたくさん並んでいる。
一つの国でこんなにたくさんの民族や文化の食材を分け隔てなく日常的に食べられるのは世界でも稀なのではないだろうか。